□High and Low!□ ■第2話 Dangerous Girl side-H■
<絶叫ランド>で<鬼>を退治してから数日が経った。あれからなにごともなく日々は過ぎ、新しい仕事の話も特になく、冷弥はぼんやりと学校での日々を過ごしていた。
窓際の自分の席に座り、朝の光に目を細めながら窓の外を眺めていると、紅介がひょっこりと冷弥のところまで遊びに来た。冷弥の前の席を勝手に拝借して背もたれを前に腰掛ける。
「おっはよー、冷弥!」
「おはよ……君の席あっちでしょ」
「つれないこと言うなよ、せっかく話しにきたのにー」
「眠いからいい」
「つめたい!」
紅介の相手をぽつりぽつりとしているうちにチャイムが鳴り、紅介は自分の席へと戻っていった。再び春の陽気にうつらうつらし始めた冷弥の耳に、ガラガラと引き戸が開く音が届く。
「おらおら席に着けー。転入生を紹介するぞ」
学期始まりではなく、こんな中途半端な時期に転入生と聞いて、冷弥は珍しく担任の方へ視線を向けた。担任が廊下に向けて手招きすると、まだ真新しい制服を着た少女がココア色の髪を揺らして教室に入ってきた。
「あ」
その見覚えのある姿に、紅介と冷弥の声が重なった。
少女はふたりに目配せしてからにっこり笑うと、よく通る高い声で自己紹介した。